島根県大田市長久町のお国ことば(太字は強声、小文字は弱声) 2008年11月15日更新
☆長久町だけでなく、中国地方のかなり広い範囲で使われていることばも含まれているものと思われます。
☆また、生活様式の変化のために現在はもう使われなくなっていることばもあるかも知れません。
☆筆者が長久に住んでいたのは5歳から15歳までの11年間です。長久を出てから50年近く経っていますので、なかなかいっぺんには記憶がたどれません。何かの拍子にふっと思い出す言葉もありますので、その都度更新していきたいと思っています。
☆筆者がこのような方言集をまとめた意図は、単にふるさとへのノスタルジーだけではなく、国元でがんばっているたくさんの同胞たちに自分たちの言語・文化に対して大いに誇りをもってほしいという願いから、ささやかなエールのつもりでもあります。
あが=あのように <あがゆうちゃるき⇒あのようにいわれるから>
あがな=あんな <類 こがな⇒こんな そがな⇒そんな どがな⇒どんな>
あがんこと=あんなこと <「あがなこと」がつづまったもの 類 こがんこと、そがんこと、どがんこと>
あずる=もがく、あせる、てこずる
あます=相手がぶつかってしてくるのを身を開いてかわす
いいがいに=いい具合に、適切に
いいしこに=いい具合に、適切に
いがる=(無理に)大声を出す
いきしに=行くついでに、行く際に (「もどりしに」の項参照))
いたしい=つらい、難しい、苦しい
いっこ=ビー玉、ビー玉遊び
いっしに=しきりに、くりかえし、熱心に
いなげな=奇妙な、変な、おかしな
いぬる=帰る <類 いんだ⇒帰った いんじゃった⇒帰られた いんなさった⇒帰られた>
いんや=いいえ
うむす=蒸す
えっと=たくさん
おかっつぁん=(やや格式の高い家の)奥さん
おくれや=ください
おじゃみ=おてだま
おぞい=恐ろしい、こわい
おっつぁん=おじさん
が=文末につけて相手の同意を促す <鳥が種をほじくっていけんが⇒鳥が種をほじって困るんですよ(わかるでしょ)>
かぁ=案の定、心配したとおり
かずむ=嗅ぐ
かっけらかす=走る
かばち=屁理屈、減らず口、文句 (広島県でも同じ言い方をするようです)
かまう=からかう
かやかす=(水に)漬けておく
かんたつ=掘りごたつで足がやけどをしないように炭火の上にかぶせる金網
き=・・・なので (「けえ」と同義) <ごさんき⇒くれないので>
ぎっちょ=左利き
きなや=薪を積み上げておく小屋(木納屋と書くのであろうか?)
きんかいも=じゃがいも
くじをくる=不平をいう、むずかる
くべる=火を燃すときに燃料となるものを入れる
けえ=・・・なので <ごさんけえ⇒くれないので 中国地方の広い範囲で使われているようだ>
けんびき=(眼精の)肩こり
ごうぎに=たいそう
こが=このように
こがな=こんな(⇒あがなの項を参照)
こがんこと=こんなこと(⇒あがんことの項を参照)
こさぐ=掻く <こさぎ落とす⇒掻き落とす>
こさげる=こさぐと同義
ごす=くれる <類 ごした、ごいた、ごせ、ごせや、ごさん>
こで=動詞の否定形につけて「……しないで」の意を表す
<見んこで⇒見ないで せんこで⇒しないで 行かんこで⇒いかないで など>
こまい=小さい、幼い
ごんぞう=荒っぽい人、乱暴者 (北九州地方の石炭荷役人夫に「ごんぞう」という名前の気性の荒い人がいたことからきたものらしい)
ざいご=いなか者 (在郷から来たことばか?)
さで=松葉の落ち葉
さで=強調の接頭語 <さでまくれる⇒ひどく転ぶ>
ざまく=粗雑 <ざまくな⇒粗雑な>
さりご=れんげ
しごんならん=腕白な、手に負えない (人に対して使う)
しじれる=鍋の水分がなくなって焦げ付きそうになる
しに = 行きしに、帰りしに、などという形で用いられ、行く途中で、帰る途中でという意味を表す。
しょぼくる=しくじる、失敗する
しわい=疲れる、きつい
しんけ=気の狂った人
すんどり=竹で編んだちりとり状のざる(掃き集めた落ち葉などを入れて運ぶ)
せわない=大丈夫、心配ない
そが=そのように
そがだいな=そうですよねえ(肯定のあいづち)
そがな=そんな(あがなの項を参照)
そがんこと=そんなこと(あがんことの項を参照)
ぞびく=地面に触れてひきずる
たぐるま=田植えのすんだ田んぼで、苗の列の間を押して歩き、草をとりながら水田に空気を入れる手押し式小型耕耘機といったもの
たぐるまおし=たぐるまを操作すること
だに=・・・だよ(主として動詞の後ろにつける)<ほっともできんだに⇒すこしもできないんだよ>
だらず=ばか、思慮の浅い人
ちったどま=少しは <ちったどまてごせえや=少しくらいは手伝いをしなさいよ>
ちゃあ=「ちゃる」と同義 <よう知っとちゃあきな⇒よく知っておられるからね>
ちゃない=動詞につけて否定の尊敬語とする。「ちゃる」の否定形 <来ちゃない⇒来られない>
ちゃる=(1)動詞につけて尊敬語とする <よう知っとっちゃる⇒よく知っておられる>
ちゃる=(2)〜してやる <今日のところはこらえちゃる⇒今日のところは許してやる>
ちゅうはん=昼食 (昼飯の訓読みか?)
ちょっとげな=(ほんの)少しばかりの
ちょんぼし=少し
ちょんぼしほど=少しだけ
ちんか!=タッチ!(鬼ごっこで鬼が子にタッチしたときに言うことば・・・今でも子どもは鬼ごっこをして遊ぶのでしょうか)
つばえる=ふざける、はしゃいで騒ぐ
つまらん=だめだ、出来が悪い、助からない
てご=手伝い
でこさん=人形、人形の絵 (木彫りの人形を表す「でく<木偶>」からきたものか?)
どが=どのように
どがだり=どうにも <どがだりならんだに⇒どうにもならないんだよ>
どがな=どんな(あがなの項を参照)
どがんこと=どんなこと(あがんことの項を参照)
とびんご=卵からかえったばかりでまだ毛の生えていない鳥のひな
なかえ=土間、三和土(たたき)<最近はなかえのある家屋はほとんどなくなったようだ>
なげとく=放っておく、かまわずにおく
なして=どうして
なだら=刈り取った稲を乾燥させるために竹と木で組んだ棚、またその上に掛けられた稲束
なだらほぎ=なだらを作るための木製の長い杭
なにな?=なんですか?
なんたまた=なんということ!
なんたことだかいな=なんということでしょうね!(相手の不幸や不運に対して同情し、慰める気持ちを表す)
なんだり=何にも
なんだりかんだり=なんとかかんとか
にいな=新しい
にき=そば、近く
ねあずり=寝相が悪くて姿勢が乱れること
のうなる=なくなる
はあ=もう、すでに、早くも (早(はや)から転じたものか?)
はしまん=昼食と夕食の間に食べる軽い食事
はしる=痛む
鼻をすむ=鼻をかむ
はなすんぼろ=鼻紙 (柔らかなティッシュペーパーが普及した現在では死語かもわかりません)
はぶてる=すねる
ひょうのこ=牛の赤ちゃん
へかやき=すきやき(肉の代わりに魚を使う)
ぺったん=メンコ
へどける=尻餅をつく
ほいと=乞食 (今は多分いないだろうと思いますが・・・)
ほえる=泣く
ほぎ=杭、支柱
ほげる=折れる
ほっとも=少しも
ほど=だけ (程度を表すほか、限定を表すのにも使われる)<草取りほどやっといとくれや⇒草取りだけやっておいて下さい>
ほにょっと=やっと、ようやく
ほやかす=泣かす
ぼろくた=質の悪い物や人
ほんにな?= (そうなんですか(確認のための疑問文)
ほんになあ=そうですよねえ(あいづち)
ほんにや?=そうなんですか (確認のための疑問文、「ほんにな?」の方がやや丁寧)
まげな=見事な
まくれる=転倒する、ころぶ
まそげな=おいしそうな
みみがず=耳の聞こえない人
みやすい=易しい
めぐ=壊す(他動詞)
めげる=壊れる(自動詞)
もうもない=まずい(「もうむない」とも聞こえる)
もつき=むつき(おむつ)
もどりしに=帰るついでに、帰る際に
や=動詞の命令形につけて呼びかけを表す <行けや⇒いきなさいよ ごせや⇒くれよ おくれや⇒くださいよ 等>
やち=たち、複数を表す接尾語 <わやち⇒おまえたち わしやち⇒我々>
やど =(自分の)家
やれん=たまらない
ように=全く
ようばれ=おねしょ (おしっこを表す「いばり」に夜がついた「夜いばり」から転じたもの?)
ようもようも= (呆れた気持ちを込めて)よくもまあ
よこし=横手(「し」は「・・・手」を示す接尾語だが、上、下、前、後ろにはつけない。)
よろくそ=弱虫、力のない人
わ=おまえ (本来は「自分」の意だが第二人称に使うケースが多い)
わいちゃ=おまえたちは (「わやちは」がつづまったもの)
わはちゃ=私らは (「わしやちは」→「わしゃちゃ」→「わはちゃ」と変化したものと考えられる)
わりき=薪